論説

認知症の見極め小まめに 改正道交法と高齢者

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 車を運転する75歳以上のお年寄りへの認知機能検査強化を柱とした改正道交法が12日に施行された。これに伴い、運転免許の取り消しや停止となる高齢者が年間約1万5千人と警察庁は推計する。認知症かどうか小まめにチェックし、できればいつまでも安全運転を続けてほしい。もし免許を手放さなくてはならないのなら、生活の足への支援策の充実が必要だ。今後、認知症とのより適切な向き合い方が求められそうだ。

 認知症は脳の神経細胞が死んだり、働きが悪くなったりすることで、物忘れや妄想、徘徊(はいかい)などの症状が出て日常生活に支障がある状態をいう。超高齢化社会が進行する中、自身や家族を含め、身近な問題になってきた。

 厚生労働省の推計では、2025年に65歳以上の患者は675万~730万人に増えるとされ、約5人に1人が認知症ということになる。

 理解、記憶、判断など認知機能が衰えたり、反応が鈍くなれば、危険な運転につながる恐れがある。年齢による衰えは個人差が大きく、元気な高齢者には運転を続けてほしい。一方で、重大な事故防止には運転を諦めてもらうのもやむを得ない。だが、買い物や通院などは、これまでと同様に欠かすことができない。事故を起こす懸念を抱えながら必要に迫られて運転するお年寄りが心配だ。

 改正道交法では、免許更新時の検査や一定の違反を犯した場合の臨時検査で「認知症の恐れ」とされると、医師の診断を受けなくてはならない。そこで認知症と判断されれば免許取り消しか停止になる。

 安全運転を続けるためにも、日ごろから自分の状態を把握しておくことが必要だ。NPO法人「高齢者安全運転支援研究会」が作成した独自のチェックリストは一つの目安になるだろう。「道路標識の意味が思いだせなかった」「曲がる際にウインカーを出し忘れた」「車間距離を一定に保つことが苦手になった」など15項目のうち、三つ以上当てはまれば、専門医を受診したほうがよいという。

 認知症の可能性があるのかどうか、まず自覚があってこそ次のステップにつながる。そして、社会全体の支援など免許を手放しても困らない環境づくりを進めるべきだ。