論説

是正し、制度の理念浸透を ふるさと納税返礼品問題

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 好きな自治体に寄付すると税金が軽くなる「ふるさと納税」の在り方が論議を呼んでいる。不適切とされる返礼品を見直す自治体が相次ぐ一方、高市早苗総務相は改善策を検討する方針を表明。消耗戦ともいわれる返礼品競争に歯止めをかける考えだ。是正を機に国は、寄付する人の志で「地方創生を進める」という制度本来の理念を、改めて浸透させていくべきだ。

 総務省ホームページによると、ふるさと納税は(1)納税者が寄付先を選択、その使われ方を考えるきっかけになる(2)お世話になった地域、応援したい地域の力になれる(3)自治体が国民に取り組みをアピールし、地域の在り方を改めて考えるきっかけになる-ことが、意義として掲げられた。だが、自治体が寄付した人に贈る「お礼の品(返礼品)」を巡り競争が過熱。物品調達費が膨らみ、独自政策に充てるお金がそれほど増えない実態も明らかになった。

 商品券や家電製品など換金しやすい返礼品が人気となり、ネットオークションに出品されるケースが問題視されている。もはや、「返礼品の良しあし」で好きな自治体を決めている人も多いだろう。

 この現状を「過度の競争をあおり不健全」(酒々井町)などと各自治体も憂慮。共同通信社のアンケートによると、「返礼品の是正」を全国の自治体の72%、県内市町村では81%が求めていることが判明した。

 こうした中、埼玉県所沢市は、「自治体によるお得な通販のようになっている」として返礼品の贈呈を取りやめることを決定した。国の指導を受け、勝浦市は換金性が高い独自の商品券「かつうら七福感謝券」を先月末までの申し込み分で廃止。今後、見直しや自粛の動きは加速しそうだ。

 ただ返礼品を一切禁止したり、制度自体を廃止すべきではない。特産物を返礼品とすることで販売量を増加させ、地域の産業振興につなげるのは趣旨に沿った取り組みともいえる。また、集めたお金が教育や子育て事業に使われる事例は多く、被災地支援への活用もある。

 「国が品目の限定や返礼率の上限設定のルールを作る必要がある」(鎌ケ谷市)との指摘も。適切な事例を盛り込んだガイドライン策定と、改善策の公表を急ぐべきだ。