論説

セキュリティー対策が急務 サイバー攻撃の増加

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 国内のネットワークに向けられたサイバー攻撃関連の通信が、2016年は前年比2・4倍の約1281億件と、過去最高になったとの調査結果を国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)が明らかにした。発信元は米国や中国からが多かったという。高度で巧妙化するサイバー犯罪に対し、国レベルはもちろん、企業や一般利用者もセキュリティー対策を急がなければならない。

 サイバー攻撃には、インターネットを通してコンピューターや情報システムに侵入し、個人情報や機密情報を盗んだり、データを破壊や改ざん、大量アクセスを集中させて機能不全に陥らせたり、ウイルスを添付した電子メールの送信などの手口がある。

 調査を始めた05年は約3億1千万件だったが、14年は約256億6千万件、15年は約545億1千万件と、ここ数年間の増加ぶりが目立つ。

 サーバーやパソコンに侵入しようとする攻撃も増えているが、中でもIoT(モノのインターネット)機器を狙った攻撃が急増。IoTは、防犯カメラや家庭用ルーターなど家電、自動車などあらゆるものをネットに接続して生活を便利にしようとする取り組みだが、セキュリティー対策が不十分な製品が多いため標的になりやすいようだ。現代社会の利便性に潜む落とし穴ともいえよう。

 サイバー攻撃による被害は、社会の混乱と損失の大きさが計り知れない。標的が政府機関や防衛産業だったらなおさらだ。機密情報は関連企業を経由して狙われるケースが考えられるという。対象は広範囲に及ぶ。また、データ改ざんやシステム破壊は危機管理レベルを越え、事業の継続性を左右することになりかねない。

 サイバー攻撃に対処するためには人材育成も欠かせない。独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)は、人材育成組織「産業サイバーセキュリティセンター」を4月に新設する。最新の技術を学んだ専門家の活躍を期待する。

 場所や時間を問わず、不特定多数を同時に結びつけるグローバルな情報ネットワーク社会は、一方で新たな脅威を生み出した。変質する時代の中で、個人と社会が両刃の剣を使いこなせるか問われている。