論説

定義見直しは国民的議論を 「高齢者は75歳から」提言

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 65歳以上とされている高齢者の定義を「75歳以上」に見直すよう求める提言を、高齢者問題の研究者らでつくる日本老年学会などがまとめ、先月発表した。学会は「活発な社会生活が可能な人が大多数を占める70代前後の人たちの活躍が、明るく活力ある高齢化社会につながる」と捉え、長寿国の在り方に一石を投じた。ただ、雇用や社会保障制度に及ぼす影響も大きく、見直し検討にあたっては幅広い意見を集約しなければならない。国民的な議論が盛り上がっていくことを期待する。

 日本人の平均寿命は83・7歳(2015年)で20年以上連続世界一。総務省の推計(16年9月現在)によると、65歳以上は約3400万人で全人口の約27%。高齢者を75歳以上とすれば約13%に半減する。県によると、本県人口は約626万人(同年4月現在)で、うち65歳以上は約159万人で約25%、75歳以上は約70万人で約11%を占める。

 同学会は、医療の進歩や生活環境の改善により、10年前と比べ身体や知的能力など生物学的な年齢が5~10歳若返っていると判断し、定義見直しを提言。国の意識調査で65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が大半であることも考慮した結果、▽65~74歳を「准高齢者」▽75歳~89歳を「高齢者」▽90歳以上を「超高齢者」に見直した。

 “高齢者は75歳から”という提言を「死ぬまで働かなければならなくなる」と消極的に捉えるのではなく、「いつまでも働ける社会づくりへの機運が高まる」と前向きに受け止めたい。見直しの是非について結論を急ぐ必要はないが、ライフスタイルが多様化し「若々しさ」を追求するアンチエイジングもブームとなる中、年齢に対する意識や固定観念を変えていくきっかけになるのではないか。

 一方、出生数の低迷で生産年齢人口(15~64歳)が減少し、労働力の確保は喫緊の課題。提言を受け国は、定年退職後も「生涯現役」で意欲的に働ける仕組みづくりを模索すべきだ。継続雇用や再就職、企業とのマッチング、シニアの起業支援、職業訓練なども充実させたい。

 還暦以降の人生を、どう歩むべきか?だれもが抱く不安解消へ、今回の提言を契機に、世界一の長寿国ならではの先駆的なセカンドキャリア施策が具現化することを願う。