論説

誰もが平等な社会目指して 障害(がい)者表記について

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 共同通信社と加盟社の「校閲・用語責任者会議」で、障害者の表記が討議の一つになった。最近は「害」を「がい」とひらがな表記する報道、行政機関も増えつつある。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、差別助長につながらない心遣いを考えていきたい。

 人権意識が希薄な時代に比べ、活字媒体の表記は改められている。千葉日報社の記者は『記者ハンドブック』の「差別、不快用語」の項に基づき原稿を書いている。原則「害」をあてるが、取材先の求めなどに応じ「がい」を使い分ける。14年度の内閣府のまとめで、「がい」の表記を使っているのは都道府県・政令市で23自治体という。

 こうした人権への意識を背景に、企業の障害者雇用率もアップ。千葉県内の労働者全体に占める障害者の割合は、昨年6月時点で1・86%と5年連続で過去最高を更新した。

 社会全体に配慮が広がりつつあるようだが、弱者へのいじめが陰湿化していないか。15年度の障害者虐待の被害者は全国で2184人だった。県内では家族の虐待例が全国で5番目に多かった。

 約半年前の昨年7月、相模原市の知的障害者施設で陰惨な殺傷事件が起き、容疑者の差別的発言が波紋を広げた。審査を担当した全国中学生人権作文コンテスト千葉県大会にはこの事件に触れた作品も目立ち、子どもたちの心に深い傷痕を残した。

 文献をひもとけば、1964年の東京パラリンピックで当時、皇太子だった天皇陛下が名誉総裁に就任。東京パラの国内版を今後、毎年開催してほしいなどと話され、これが「全国障害者スポーツ大会」の後押しになったという。スポーツを通じ善意が広がり、障害者を特別視しなくなる社会を目指す。

 解剖学者の養老孟司さんは現在の都市化を脳が望んだという意味で「脳化社会」と表現した。感性よりも頭で考えた理屈を優先させる脳化社会が肥大化し、相模原殺傷事件などの根っこになっていると説く。

 白杖(はくじょう)をついている人が、点字ブロックの破損で戸惑っていたら、自然と手を差し伸べる。頭ではなく心のバリアフリー。20年の東京パラに向けて、文字表記だけでなく、言論機関として誰もが平等な社会の実現に取り組んでいく。