論説

「米国第一」今後の政策に注視 オバマからトランプへ

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 黒人初の米大統領、オバマ氏が2期8年の任期を終えた。看板施策の医療保険制度改革(オバマケア)など国内政策では評価が分かれるが、外交では一定の成果を上げたのではないか。安倍政権の下、日米関係も深化した。退任直前の支持率は高く、再評価されつつある。対照的にバトンタッチしたトランプ氏は「米国第一」を掲げるも、保護主義的発言やメディア批判などもあり、国民の支持を落として逆風の船出。オバマ前政権の路線転換を表明しており、今後の政策に注目が集まる。

 「Yes We Can」。2008年、「変革」を掲げて全米を熱狂させたオバマ氏。イリノイ州上院議員から上り詰め、任期の8年を駆け抜けた。

 目玉施策のオバマケアは、日本のような国民皆保険制度がない米国で保険加入を義務付け、低所得者に補助金を出すことなどで加入率を高める仕組み。10年、議会多数派だった民主党が、「個人の選択の自由を奪う」と問題視する共和党の賛成が1票もないまま根拠法を成立させ禍根を残したが、14年の本格実施以後、非加入者の割合は大幅に減った。ただ乱射事件など銃犯罪が相次ぎ、人種差別の禍根も克服には至らなかった。

 半面、キューバとの国交回復、現職米大統領として初の被爆地・広島訪問、イランとの核合意など外交面での成果は目覚ましい。安倍首相の真珠湾訪問も実現。日米の同盟関係が深まった。

 品格のある物腰と、親しみやすい人柄も愛された。世論調査では支持率が09年6月以来、最高となる60%を記録。退任を控えた調査ではクリントン元大統領の66%、レーガン元大統領の64%に次ぐ高水準という。多くの人がオバマ時代を名残惜しいと感じ、再評価の機運が高まっている。

 一方、20日に就任したトランプ氏は1期目として歴代最高齢の70歳、軍務や公職経験がないのも初めてで、異例ずくめ。雇用創出や国境管理強化など「米国第一」を掲げながら支持率は記録的な低水準だ。就任式のボイコットが相次ぎ、逆風の中での船出を強いられた。

 オバマケア撤廃、環太平洋連携協定(TPP)離脱などオバマ前政権の路線転換を表明した。不安定な世界の幕開けに、日米関係への影響を含め、今後の政策に注視しなければならない。