論説

交通インフラ、修繕急げ 「事後保全」から「予防保全」へ

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 県は、20年後に築50年を超える橋梁(りょう)、横断歩道橋、トンネルの割合がそれぞれ65%、87%、80%と高いため、問題が発生してから大規模な修繕に乗り出す従来の「事後保全型」から、損傷が表面化する前に補強する「予防保全型」の手法に切り替えると発表した。トンネルなどの構造物の老朽化や欠陥は、事故発生など人命にも関わる危険をはらむ。県民の安全性が確保できる面で、大きな意義があると考える。

 県道路環境課によると、県が管理する橋梁は2139カ所、横断歩道橋107カ所、トンネル136カ所。現在、築50年以上が経過する橋梁は23%、横断歩道橋1%、トンネル34%だが、20年後にはそれぞれ大幅に増加する。今後50年間の維持管理費を試算すると、「予防保全型」へ移行することで、橋が62%、横断歩道橋が40%、トンネルが16%の節減と、計2140億円の経費を抑制できるという。

 車3台が約140メートルにわたって崩落した天井板の下敷きになり、9人が死亡した2012年12月の山梨・中央自動車道笹子トンネル事故。翌年、国土交通省は中日本高速道路の12年間にも及ぶ不十分な安全検査を指摘した。「安全管理」は何より優先しなければならない。事故や問題が起きてからでは遅い。

 「予防保全型」の導入は、コスト削減以上に、安全性の向上で県民からの信頼が増す効果の方が大きいと考える。12月県議会では当面5年以内に対応する数字(橋梁130カ所、横断歩道橋56カ所、トンネル27カ所)が示されたが、できるだけ早期に個別施設を診断し、修繕の時期と工法を決めてほしい。小型無人機「ドローン」など最新技術を活用するのも一考に値するのではないか。

 大規模修繕にはどの自治体も多額のコストを強いられる。危険な箇所が多数確認されているものの、特に小規模な自治体では、予算や人員面の制約から対応は難しいのが現状だ。国交省のアンケートによると、市町村の6割が「現在の予算では5年以内に補修できない」と財政面の厳しさを訴えている。

 笹子トンネルのような事故を二度と起こしてはならない。他の地方自治体も県の取り組みを参考に万全の措置を講じてほしい。交通インフラは安全が絶対条件である。