論説

依存症や治安の対策必要 IR法成立

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 カジノや大型会議場、ホテルなどが一体となった統合型リゾート施設(IR)の整備推進を政府に促す、いわゆるカジノ法が成立した。外国人旅行者誘致や地域経済活性化の起爆剤として、安倍政権が掲げる成長戦略の目玉。カジノ誘致に積極的な自治体は多く、県内でも議論が始まっている。しかし、ギャンブル依存症対策、治安悪化などの懸念は置き去りにされた感がある。実効的な対策と厳格な法整備が求められる。

 同法は、現行法では設置できないカジノの合法化で滞在型観光を実現させ、地域経済の振興を図る狙いがある。超党派の議員連盟が法案をまとめ、自民党などが2013年に議員立法で国会に提出。14年の衆院解散で廃案となり、15年に再提出した。法案だけではカジノはできない。今後1年かけて、より詳細な実施法案や関連する法律の改正案が作成され、成立することで制度的な枠組みが固まる。

 北海道や大阪府、長崎県などが誘致に前向きな姿勢を示している。県内でも、成田市内の経済商工関係団体「IR誘致推進協議会」が、成田空港周辺へのIR誘致などを求める要望書を月内にも市などへ提出する予定。千葉市は14年、幕張新都心におけるIR導入の可能性を調査。ホテルなどを併設したカジノを整備した場合の経済効果は年間3157億円、税収は373億円と試算した。

 しかし、ギャンブル依存症増加や、治安悪化への懸念から、各首長には慎重論も根強い。

 賭博にのめり込んで衝動を抑えられなくなる疾患は「ギャンブル依存症」と呼ばれ、治療が必要。患者は全国で500万人以上と推計されているものの、患者の回復支援や学生らへの予防教育に関する政策がほとんどないのが現状。カジノが合法化されている各国でも依存症対策は共通の課題となっている。依存症の人には入場を禁じるなどの対策も有効だろう。

 また、チップの換金などによって、犯罪で得た収益の出所を分からなくするマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用される恐れがあるほか、治安の悪化につながる恐れもある。入場者や従業員から暴力団関係者などの反社会的勢力を排除する取り組みや、周辺の治安対策も必要だ。経済優先で、国内、国民の混乱を招いては本末転倒だ。