論説

新味なき喚起策は有効か 個人消費低迷の1年

  • 0
  • LINEで送る

 年の瀬が押し迫って、日本経済を振り返ると、今年も個人消費低迷の1年だった。アベノミクスによる雇用と所得の改善が、個人消費に結びつかない。デフレの完全脱却で真の景気回復をいつ実感できるのだろう。インターネット社会の成熟で複雑化する消費動向に対して、新味に乏しい国や民間の喚起策は有効なのか。

 たしかに雇用と所得は急速に回復した。10月の全国の有効求人倍率は1・40倍で2カ月連続改善、千葉県内も1・17倍の高水準を維持。データ上は仕事を選ばなければ、誰もが職に就ける雇用環境となっている。

 所得では、2016年の1人当たりの月額所定内賃金が前年比5176円増とアップ。同年の初任給でも、本県は大卒が20万5千円と全国平均(20万3400円)を上回った。

 しかし、消費への波及は乏しい。7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は3四半期連続でプラス成長だったものの、GDPの6割を占める個人消費は低調のまま。雇用が安定し収入が増えたのに、購買意欲がわかない。家計は、不要不急の出費を控えている。

 こうした節約志向が、人口約97万人の政令市・千葉市にも暗い影を落とす。千葉パルコが11月末、三越千葉店が来年3月に閉店。かつて大衆の消費空間として花開いた百貨店だが、役割は大きく変わりつつある。

 15年のネットショッピング利用世帯は、02年の5・2倍に拡大。しかも平均支出額では50代が最も高く、若者だけがネット市場を独占してはいない。ネット上での価格比較で消費者のコストパフォーマンス意識が高まり、百貨店は今やショーウインドーと化している。このため百貨店などがネット販売を強化するほど、従来の陳列販売方式はニーズに合わなくなり、自らの首を絞める結果となる。

 安倍首相は、17年春闘で2%以上の賃上げを経済界に求めている。いわゆる「官製春闘」は4年目となるが、過去3年は冷えたままの消費マインドへの効果は薄かった。

 節約志向は、若者から高齢者まで“漠然”とした将来不安からくるのだろう。20年東京五輪に向けて、持続的な経済成長で膨張する社会保障の財源を確保し、将来不安を拭い去る経済政策の地道な実行を求めたい。