論説

維持困難路線に上下分離提案 問われるJR北海道の覚悟

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 JR北海道が自社単独では運行を続けられない「維持困難路線」を発表した。バスへの転換など一部廃線も視野に入れる方針で、道民から不安の声が高まる中、国、関係自治体の対応に注目が集まっている。過疎化が進む地域にとって、鉄道は生活に直結する交通手段としてなくてはならないが、JR北海道の経営悪化に歯止めが掛からないのも現実。鉄道インフラで行政と民間企業の役割分担がどうあるべきかが問われている。

 同社によると、維持困難な路線は10路線、1237・2キロ。全路線の約半分に及ぶ。同社は国鉄の分割民営化の際、当初から赤字経営が想定されていた。そのため国は救済策として巨額の経営安定基金を創設、その運用益で赤字を補てんしてきたが、超低金利時代を迎え、運用益は激減。さらに利用客減、施設の老朽化が追い打ちをかけ、人員削減による合理化が、点検、整備の不徹底による事故多発にもつながっている。

 JR北海道は路線維持の方策の一つとして「上下分離方式」の導入を提案する。「下」に当たる線路などの施設を切り離し、自治体に維持、管理を任せ、JRは「上」の運行に専念する方式。

 利益を生まないハード部分だけを行政任せにするのは身勝手にも思えるが、「道路を考えても、ハードを行政が整備、管理するのは当たり前」とする識者も多い。税金で交通インフラを支えることは不自然ではない。

 本県でもいすみ鉄道の経営悪化が問題になった際、上下分離方式を採り入れて存続を決めた。いすみ鉄道は元々、旧国鉄の赤字路線が、第3セクターとして独立した鉄道で、現在のJR北海道の維持困難路線と状況は似ている。

 分離して「下」に税金が使われる以上、「上」の部分の経営が成り立たなくては話にならない。いすみ鉄道は社長を公募するなど、民間の知恵でてこ入れし、一定の成果を上げてきた。しかし、多くの路線を抱えるJR北海道が、個々の路線ごとに活性化策を実施できるかといえば疑問が生じる。

 廃線を避けるため、地元は官民が協力して、ボランティア活動や観光客誘致などに取り組むだろう。その際、どこまで一緒に汗を流せるのか。JR北海道の覚悟と責任が問われる。