論説

新たな価値創出を目指せ 目立つ県内の産学官連携

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 産学官連携の事業が県内で目立っている。普段は別々に活動する組織が手を携えることで、化学反応を起こしヒット商品を生み出す好例も出てきた。成功の鍵を握るのは「学」が有する高い潜在能力だろう。「産」「官」とも学生の柔軟で斬新な発想を経済や地域の成長エンジンとして積極的に活用してほしい。

 千葉市の山崎製パン千葉工場が11月発売した菓子パン「ま~るいメロンデニッシュ」。銚子市の県立銚子商業高校と市川市の千葉商科大学が数カ月かけ、企画、試食、包装デザインまで携わった力作だ。「千産千消」を念頭に旭市産「貴味メロン」を使い、ほどよい甘みとしっとりとした食感に仕上げた。

 「生徒らのアイデアを、見た目も味も尊重して作った」という同工場。産学協同の利点について「顧客の生の声を聞ける点。メディアに注目されるのも大きい」と説明する。

 3者は農協にも協力を求め昨年、第1弾の「四角いメロンパン」を販売。年20~30点に上る同工場の新商品の中でも「断トツの売れ行き」を誇ったが、今年もゼロベースから素材や作り込みを考えた。狙いは新たな価値の創出。成功体験にしばられず、挑戦し続ける大切さを生徒も感じたのではないか。

 座学だけでなく実学に踏み込めば、経験を通してより深く学ぶことができる。同校と同大学は「プレゼンテーション能力が高まった。自信になる」と口をそろえ、来年以降の活動継続にも意欲を示す。

 文科省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」も千葉大学を核に昨年度、スタート。敬愛、千葉科学、千葉工業、聖徳大短大の県内各大学と木更津高専も参加し、5年間で都市や大学での研究の種を地方に還流する。人材育成や雇用創造、ローカル志向につなげることが目的。地方創生の掛け声の中、「今までと違い地域で町おこしをしたいという学生が出てきている」と千葉大。横芝光町の観光振興へ現地に出先の拠点を設ける試みも始めた。

 少子化の時代。大学は優秀な学生獲得のためにも、社会にアピールできる機会を最大限に生かす必要がある。企業や自治体も協力姿勢はイメージアップにつながる。「知」を出し合い千葉の「地」に活性化の実をもたらす活動を期待したい。