ジャンプ日本、巻き返しは 「成田収平 スキーの味方の見方」 

ジャンプ団体で2回目の飛躍後、遠くを見つめる葛西紀明=平昌(共同)

 ジャンプ男子団体の優勝争いは、非常に見応えがあり、面白かった。1回目を終えて1位ノルウェー、2位ドイツ、3位ポーランドと、予想通りの3強が上位を占めました。1位と3位の差は5・0点で、飛距離に換算すれば3メートルもありません。風の状態はまずまず公平と言えたラージヒルの日以上に安定していました。つまり実力通りの結果が出るということです。

 3強の中でも選手の粒がそろっているノルウェーが、2回目の1人目と2人目のグループで最も遠くへ飛んで差を広げました。層の厚さは抜きんでており、ノルウェーだけが全員、2回とも130メートルを越えました。1988年カルガリー五輪で始まった団体では意外にも初優勝です。素直におめでとうと言いたいです。

 さて我らが日本です。まずは4人を選ぶのに苦労したのではないでしょうか。私は葛西紀明を外すのでは、と思いました。刺激を与える意味でも、それぐらいしてもいいかもしれない。でも実際にそれができるかと言われれば…。チームの苦悩が手に取るように分かりました。

 結局ワールドカップ(W杯)個人総合で日本人トップながら全く調子の上がらない小林潤志郎を外しました。飛躍順は竹内択、伊東大貴、葛西紀明、小林陵侑。1番手は出遅れたくないので最も安定した選手を選び、4番手はチームのエースが担うのが定石です。ノーマルヒルで7位、ラージヒルで10位と日本勢で最高の成績を挙げた陵侑に4番手の白羽の矢が立ったわけですが、21歳とチーム一の若手で五輪初出場です。このような布陣はあまり記憶にありません。本来なら葛西に託したかったはずですが、どうしようもありません。

 日本は最初から最後まで6位のままでした。みんな、今の力を発揮しようと頑張りましたが、何かがかみ合っていないようでした。エースがリーダーとしての役割を果たし切れないと、チーム力は断然低下します。気迫というか士気が上がらないのです。私も何度か経験をしているのでこの苦しさはよく分かります。

 ソチ五輪の団体で日本は銅メダルを獲得しました。その後も葛西、伊東、竹内の3名は遠征チームに在籍し、当時20歳で一番若かった清水礼留飛は成績が振るわず離脱しました。入れ替わりに小林潤志郎が伸び、この五輪では弟の陵侑も存在をアピールしました。巻き返しの兆しはあると思います。

 これから何をすればいいのか。すぐに改善できるような策はありません。少しぐらい成績が悪くても、腹を据えて若い選手をW杯などの遠征に連れて行き、経験を積ませる。それが一つでしょうか。


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