武田泰淳作品を上海で発見 特攻隊が題材の「神鷲」 

書籍「神鷲」の表紙(奈良大の木田隆文准教授撮影)

 戦後派文学を代表する作家で、小説「ひかりごけ」で知られる武田泰淳(1912~76年)が、日中戦争末期の中国・上海で執筆した作品があることが23日、分かった。神風特攻隊を題材としており、奈良大の木田隆文准教授が、上海図書館所蔵の書籍「神鷲」に掲載されていたのを確認した。

 武田は当時、上海の「中日文化協会」で翻訳の仕事に携わっていたが、現存する資料が乏しく、具体的な活動はほとんど知られていなかった。

 書籍「神鷲」は非売品で、45年4月に刊行。戦意高揚を目的に、現地紙「大陸新報」などが特攻隊をテーマにした短歌や俳句などを募集し、その入選作をまとめた。


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