身近なフィリピン人の素顔 映像で語るつらさと幸せ 

 フィリピン人居住者が約3500人と東京都内で最多の足立区。相互理解を進めるイベント「マキララ―知り、会い、踊る」が22日から同区千住仲町の「仲町の家」で開かれ、フィリピン人9人のインタビュー映像が上映される。

 同区などが主催するプロジェクト「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」の一環で、昨年に次ぎ2回目。映像を通じ身近な隣人の素顔を知ってもらうのが狙いだ。

 同区には、家族の生計のためフィリピン人女性らがダンサーや歌手として出稼ぎに訪れ、多くは水商売で接客にも従事。本国に送金する一方、結婚し日本で子育てをしている人も少なくない。

 映像に登場するのは10~60代の女性8人、男性1人。日本語で「水商売で接していると、すけべな人がいるのは仕方ないけど、ちょっとやりすぎ」「内職をしながら、夜の仕事をやっている他のお母さんたちの子を預かり、その後、夜中の3時から弁当屋さんで働いた」などと働く厳しさを明かす。一方で「良い人生ってお金だけじゃない。家族は私を愛してくれて友だちもいて食べ物もある。それが幸せ」とも。

 「アート―」のスタッフが区内のカトリック教会に通う彼女たちと交流を重ね昨年、演出家の阿部初美さんに依頼して映像を制作。阿部さんは「彼女たちはつらさを抱えながらも、幸せの感度が高い。私たちの生き方、社会の在り方を考えるきっかけになる」と話している。

 上映は22~24日、29~31日、8月5~7日で入場無料。


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