都議選、市場移転争点も関心薄く 築地、豊洲の地元住民 

高層住宅の住人向けに、ボートに乗って選挙活動をする都議選候補者=24日、東京都中央区

 東京都議選(7月2日投開票)では、市場移転問題が重要テーマになっている。築地、豊洲市場をそれぞれ抱える中央区と江東区の選挙区に注目が集まり、候補者は火花を散らす。一方で両区は高層住宅が立ち並ぶ人口増加地区でもあり、住民からは「地元にとっては市場問題だけが争点ではない」との声も多く聞かれる。

 中央区は定数1に対し5人が立候補する激戦区だ。候補者の多くは築地市場の近くに選挙事務所を置き、早朝から練り歩くなどしてアピールをしている。業界関係者によると、築地市場は未明から競りなどが始まるため、近くに住む人もいて地元有権者も多い。

 ただ候補者の1人は「築地の人たちは移転賛成、反対という主張をすでに決めているため、新しい票にはつながらない」との見方を示す。

 候補者らが重点を置くのは新興住宅地への売り込みだ。中央区はこの10年で人口が10万人から15万人へと急激に増加。新築されたタワーマンションへ移り住んできた住人らへの呼び掛けに励む。

 ある候補者は、ボートに乗って川や運河の上から、拡声器で声を張り上げる。「道路から声を掛けるよりも、部屋のベランダに面した川や運河からが効果的。若い世代も多く、興味を持ってもらえる」という狙いだ。

 豊洲市場がある江東区は定数4に対し9人が立候補。中央区と同様に人口が増加していて、地元区議は「江東区は豊洲だけではなくかなり広く、多くの区民は市場問題に興味がない」と話す。

 候補者は大型ショッピングセンターなど集客施設を狙って街頭演説を繰り返している。演説を眺めていた同区の男性会社員(43)は「市場移転そのものよりも、交通網がどう変わるかなど、区民の生活に直結する議論をしてもらいたい」と話していた。


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