水俣病「語り伝え差別なくす」 患者の緒方正実さん 

 水俣病患者で、熊本県水俣市立水俣病資料館の「語り部の会」会長の緒方正実さん(59)は29日、福岡市で講演し「健康被害はあるが、暮らしは他の人と変わらない。語り伝えることで、差別をなくしたい」と話した。

 幼いころ同居の祖父を急性劇症型の水俣病で亡くし、妹は胎児性水俣病だった。「今も『水俣病がうつる』と言われることがある」と明かし、差別が続く現状を訴えた。

 周囲から冷たい視線を向けられる中で、真剣なまなざしで「大丈夫か」と声を掛けてくれた学校の先生もいた。「悔しさや悲しみだけでなく、人との温かい触れ合いがあったことも伝えたい」と語った。


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