ヘリで銃撃「虐殺」認定 韓国、80年の光州事件 

 【ソウル共同】1980年5月に韓国南西部の光州で軍が民主化を求める市民を武力鎮圧し160人以上を殺害した光州事件をめぐり、韓国国防省の特別調査委員会は7日、当時軍のヘリコプターが上空から丸腰の市民に無差別に機銃掃射を加え殺害していたことを確認したと発表し、この行為は「虐殺だった」と認めた。

 光州では軍の地上部隊がデモ隊に一斉射撃を浴びせ多数を殺害したことは知られている。軍は銃を奪ったデモ隊の攻撃に対する自衛措置だったと弁明してきたが、市民が銃を奪う前に軍が射撃をしたことが昨年発覚。上空からの攻撃も確認され、無抵抗の市民の一方的な殺害だったことが鮮明になった。

 昨年、最後まで抵抗した市民が鎮圧された旧全羅南道庁近くのビルの10階付近から多数の弾痕が見つかっていた。軍は約40機のヘリを光州に投入しており、銃撃を多数回行った疑いがある。

 調査委によると、鎮圧当時、空軍は近隣の基地で攻撃機に爆弾を装着して待機させていた。光州爆撃を準備していた可能性があるが、関係者が供述を拒むなどして確認はできなかったという。

 当時、尹子重・空軍参謀総長(昨年死亡)は、光州のデモが「ベトナム戦争に酷似している」と主張し、攻撃を積極的に指示していた。79年にクーデターで実権を奪い、光州の鎮圧を指示した全斗煥・国軍保安司令官(後の大統領)の命令なしに尹氏が指示を出した可能性は低いとみられ、全氏への再捜査を求める声が高まりそうだ。

 全氏は昨年出版した回顧録で、光州事件は「暴動」だと主張し、ヘリからの銃撃を否定。回顧録は内容が虚偽だとして販売が禁じられた。


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