「前向きになる闘病」を漫画に 子宮がん経験の岡田有希さん 

岡田有希さんが自らの闘病をつづった「さよならしきゅう」の表紙

 約5年前に子宮頸がんと診断され、子宮と卵巣を摘出した漫画家の岡田有希さんが、自らの闘病をつづったエッセー漫画「さよならしきゅう」を刊行した。不安な時期に「つらく悲しい闘病記」を読んで落ち込んだ経験から「自分の体験をリアルに伝えつつ、最後は『きっと大丈夫』と前向きになれる作品にしたかった」と話す。

 当時2歳の長女の子育てと仕事に奮闘していた岡田さん。がんの診断を受けてからの不安な日々や、治療方針に悩む姿が描かれているが、語り口はあくまでコミカルだ。

 「手術室が宇宙船みたいにかっこよかったり、同室の患者さんと女子会で盛り上がったり、面白いことも結構あった。私にとっては、決してネガティブなだけの時間ではなかった」と振り返る。

 執筆にあたっては同じく漫画家の夫や、元看護師の伯母のサポートがあった。「怖くて病気のことを記録できなかった」岡田さんに代わり、二人は病院の外観から医師がホワイトボードに書いた文字まで、ありとあらゆる物事を写真や記録に残していたという。「当時の家族の心境なども聞き、改めて支えられていたことを実感しました」

 もう一つ痛感したのが「娯楽の偉大さ」。入院中は漫画やゲームに熱中することで、不安に押しつぶされずに済んだという。この作品も「病気と闘っている人に限らず、大勢の人に娯楽として楽しんでもらえるとうれしいです」と話した。

 講談社刊、627円。


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