便利な世の中をかき回す 「サバイバル―」DVD化 

インタビューに答える矢口史靖監督

 電気がなくなった世界を生き延びる一家を、笑いを交えて描いた映画「サバイバルファミリー」がブルーレイ、DVD化された。矢口史靖監督は「便利なもので埋め尽くされた世の中をかき回し、家族が再生していくさまを描いたら、面白いと思った」と語る。

 口先だけの父(小日向文世)にスマートフォン漬けの娘(葵わかな)ら家族4人の会話もかみ合わない鈴木家。ある日、太陽フレアなどが原因とみられる大停電が発生、東京を自転車で脱出し、母(深津絵里)の故郷・鹿児島を目指す一家に次々と困難がふりかかる。

 どんどん便利になる社会に「ついていけない」と感じ、今作の着想を得た矢口監督。「家族全員がスマホを持ち、会話がなくても平気になってしまっている今だからこそ物語が成立する」と思い作品化に踏み切った。

 オールロケにこだわり、行く手を阻む川を一家が命がけで渡る場面は、寒さの厳しい11月末の撮影になった。「俳優さんには何度も『本当にやらなくてはいけないの?』と言われた。それが強い映像につながった」

 飲み水の代わりに求めたバッテリー補充液や、父親のかつらなど小物が効果的。サバイバル感を味わい、くすりと笑いながら、最後にジーンとさせられるのは、さすが矢口ワールドだ。ブルーレイとDVDは20日、ポニーキャニオンから発売。


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