模擬体験で対応学ぶ 東京消防庁の本所防災館 

119番通報体験をする小学生=東京都墨田区の本所防災館

 分かったつもりでいて、意外に知らない防災の知識。東京消防庁の「本所防災館」(東京都墨田区)は、暴風雨などの模擬体験で災害の恐ろしさを肌で感じながら、もしもの時の適切な対応を学べる。

 同館は消火や都市型水害などさまざまな模擬体験のコーナーを設置。インストラクターが案内する館内ツアーを実施している。

 中でも人気なのが3月に一部リニューアルした暴風雨体験。同館によると、台風並みの風速30メートル、時間雨量50ミリを再現したという。雨がっぱと長靴を借り、部屋に入る。すさまじい風と雨に、うつむいて踏ん張っていると、シャツにも水が染み込んできた。屋外なら次々に物も飛んでくるだろう。ゾッとした。

 地震体験コーナーでは、揺れを感じたら火を消すのではなく、机の下に潜るよう指示があった。 「一頃は『地震だ、火を消せ』だったが、今は『まず身の安全』です」とインストラクター。阪神大震災以降、地震の巨大化やガスの安全装置の進化などを背景に、変わったという。防災知識のアップデートは、命を左右すると実感した。

 自由見学スペースの119番通報コーナーは、2月にリニューアルされた。火災や急病人に遭遇したといった想定で、消防庁とのやりとりを疑似体験できる。自分の声が音声認識装置で画面に表示されるため、ゲームに近い感覚だが、経験しておけば、いざという時に慌てずに済むだろう。


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