戦中戦後のはがき210点 新宿の平和資料館 

漫画家斎藤邦雄さんが自画像を描いて妹宛てに送ったはがき=東京都新宿区の平和祈念展示資料館

 東京都新宿区の平和祈念展示資料館で、戦中戦後に交わされたはがきや手紙など約210点を展示する企画展「手紙が語る戦争」が3月26日まで開かれている。

 作家の辺見じゅんさんの「収容所から来た遺書」は、シベリア抑留中に死亡した日本人の遺書を仲間が手分けして暗記し、遺族に伝えた実話を基にしたノンフィクション。企画展では、モデルとなった山本幡男さんがシベリア抑留中の1953年1月16日、日本の家族に出した「俘虜用郵便葉書」を展示している。「色々と困難も多かろうが…今度相会う日を楽しみに…生き抜いてください」と記していた。

 出征前、東京・東宝劇場の美術担当だった漫画家の斎藤邦雄さんが、妹に宛てたはがきには自画像が描かれ、「この絵は俺に似てるか。何しろ想像画だ。66キロまで太っている。安心してくれ」と書かれていた。

 軍隊での生活を「頭の中は空っぽさ。何も考えもせず、また欲も起きない」と斎藤さん。「馬と兵隊」と題した絵が添えられたはがきは、馬小屋を描いた部分が軍の機密に触れたとみられ、墨で塗りつぶされた。

 1943年から翌44年までの約300日間で、満州に出征していた池田洋平さんが、国内の家族に出した150通以上の「軍事郵便葉書」も。家族を心配したり、おいの成長を想像したりする様子がうかがえる。


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