異例の進化の戦略明かす 鷹の爪のFROGMAN 

「秘密結社 鷹の爪」の生みの親、FROGMAN(中央)=東京都内

 人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」は、企業や自治体とのコラボレーションを積極的に展開し、異例の進化を遂げている。「唯一無二の存在になった」と語る、鷹の爪を生み出した映像作家FROGMANが、ヒット戦略を明かした。

 世界征服を目指す脱力系組織「鷹の爪団」の日常を描くアニメは、2006年に放送開始。「当時はアニメのDVDが売れなくなった時代。萌えやロボットといったアニメオタクに受けるテーマには見切りを付け、どんどん企業のPRキャラとして売っていくビジネスモデルを意図していた」

 カップ麺や眼鏡のコラボ商品が作られたり、総務省の選挙キャンペーンで投票を呼び掛けたり。「何色にでも染まることを良しとする」個性的なキャラクターたちに加えて、FROGMANが1人で声優・監督・脚本をこなす制作スタイルも強みになった。

 通常の人気キャラクターの場合は、原作者や出版社、テレビ局に映画会社など利害関係者がひしめきあっているが、「鷹の爪の場合は、作っているのは僕1人でこんなに話が早いことはない。使いやすいアニメキャラクターが出れば、広告業界は重宝がるだろうと思っていた」と語る。

 ここ数年は、シナリオ制作やキャラデザインなどを手掛ける後進の育成にも尽力している。現在も1人で声優を担当しているが、「中学時代からおじさんみたいな自分の声が嫌いだった。2代目声優を募集しています」と苦笑した。

 「秘密結社 鷹の爪」は、アニメ専門チャンネル「カートゥーン ネットワーク」で放送中。


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