ジルコニア人工歯で先駆 「人」を理念に掲げ前進 協和デンタル・ラボラトリー(松戸市) 【平成ちば夢開拓社】

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歯科技工士らが真剣な面持ちで技工物製造に臨む協和デンタル・ラボラトリー本社=松戸市新松戸

◇業種 歯科技工所
◇所在地 松戸市新松戸3-260-1
◇創業年 1984年
◇社長 木村健二
◇社員数 27人

 大気圏再突入の際に1500度以上の高熱にさらされるスペースシャトルを保護するため、耐熱材として採用されてきた物質、ジルコニア。非常に堅牢(けんろう)で「模造ダイヤ」とも呼ばれるこの物質をいち早く人工歯に活用し、国内パイオニアとしての地位を築いた。「この機に取引がぐんと広がった」と木村健二社長(54)は言う。

 歯科医院の依頼で差し歯や入れ歯を作る歯科技工所、協和デンタル・ラボラトリー(松戸市)。2005年に国がジルコニアの医療使用を認可後直ちに、この分野に参入。技工物の設計・製造を行う装置「歯科用CAD/CAM」を導入し、顎の骨に埋め込む人工歯「インプラント」用や差し歯などのジルコニア製技工物の生産体制を確立した。以来、売上高をほぼ倍増させるなど飛躍を遂げた。

 ジルコニアは耐久性に加え、見た目の美しさや人体へのなじみやすさにも強みがある。従来のインプラントは人工歯根と人工歯の連結部に金属のパラジウムや白金が使われていたが、外から金属が見えてしまうことがある。一方、ジルコニアは歯と同じ乳白色。金属アレルギーの心配もない。

 今では年間2300本のジルコニア製技工物を生産し、取引先は全国100カ所に拡大。研修を重ね培ってきた社員の高い技術力も躍進の原動力になった。

 ただ、ずっと順風満帆だったわけではない。創業からしばらく軌道に乗らず、辞めていく技工士が相次いだ。暗中模索のまま10年がたち、ある経営者の集いに参加した。役員に相談すると「人が付いてこないのは自分のせいだ」と指摘され、はっとした。「社員に仕事をやらせるのではなく、やってもらっているという感謝の気持ちが大事」と諭された。

 それを機に経営について本気で考えるようになった。「『金もうけ』ではなく『人もうけ』ができる経営者になりたい」。歯科技工は、社員が将来も安心して仕事ができる会社を作るための手段、と捉え直した。