高速バルブで生産効率化 革新的な制御システムが鍵 プログレッシオ(船橋市) 【平成ちば夢開拓社】

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高速で開閉する振り子式真空バルブを操作するエマニュエル社長=船橋市

◇業種  半導体製造装置向け真空バルブ製造販売
◇所在地 船橋市北本町1-17-25ベンチャープラザ船橋113
◇創業年 2007年
◇社長  バイヤーズ・エマニュエル
◇社員数 3人

 目にも留まらぬ速さで開閉する金属のプレート-。プログレッシオ(船橋市)が製造する半導体製造装置向けの高速振り子式真空バルブだ。他社にない動力システムを採用し、競合製品が2・5秒かかった開閉動作を0・3秒でやってのける。同社が相手にするのは、1分1秒の無駄がコストに響く大規模な生産現場。圧倒的な性能を武器に業績拡大を続けている。

 半導体を製造する工程は、シリコン基盤が入る容器の中の圧力やガスの組成を細密にコントロールしながら進むため、ガスの出入りを制御するバルブの性能が重要になる。振り子式真空バルブは容器のガスの出口部分にあり、ふたが振り子のように横方向に動いて開閉、さらに上下に動いて密閉する構造。バルブが素早く締まるほど容器内が早く設定圧力に到達し、生産性をアップできる。また、半導体の製造技術はフラットパネルディスプレー、太陽光パネルなど多方面に応用されており、バルブの利用先も幅広い。

 同社バルブの性能の鍵は、モーターの動力を直接伝える「ダイレクトドライブシステム」。他社の振り子式バルブが歯車を挟んだシステムで細かい動きの制御を可能にするのとは全く異なる機構で、パワーと同時に、歯車の摩耗がなくなり寿命も伸びた。振り子式バルブを同システムによって最小限の部品でコントロールするのは、業界の常識を覆す同社の特許技術だ。

 初めは、米国でモーター制御の技術者として活躍したバイヤーズ・エマニュエル社長(42)が経営管理担当の妻、木村美絵さん(34)と5万円ずつを出資し、自宅で始めた小さな合同会社。試行錯誤を繰り返しながら2008年に最初のバルブを、昨年新型機を開発した。エマニュエル社長は「自社製品を作り上げるまでが本当に大変だった」と振り返る。

 技術はあっても自社の製品や特許、メーカーとしての知名度がないことで、対外的な信頼を得られず苦労した。常識外のシステムを顧客に理解してもらうまで、1年近くかかったこともある。ようやく認められ、ハードディスクドライブや携帯電話のディスプレーを製造する大企業の工場に導入。納入先の実証実験では、バルブを換えただけである工程にかかる時間が4・3%短縮され、年間数億円の効率化につながると試算された。