地域影響に不安の声 松戸では要望書提出 三越伊勢丹が店舗改革

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 地方や首都圏郊外にある店舗の売り場面積の縮小や業態転換などを検討している三越伊勢丹ホールディングスは、3月末をめどに具体的な店舗を公表する方針だ。大西洋社長の決断が近づくのを前に、リストラが取りざたされる店舗の周辺では地域経済への影響を心配する声が上がっている。

◆郊外店

 「地元の不安を解消するため市長に要望書を出した」。松戸商工会議所の中山政明会頭が明かした。伊勢丹松戸店は昨秋、大西氏が構造改革の候補に挙げた店舗の一つ。中山氏は「縮小も困るが、万一撤退となればダメージは大きい」と話す。

 松戸店は、東京駅まで約30分という近さがあだとなり、都心の百貨店に客を奪われてきた典型的な郊外店だ。要望書では、店に客を呼び込むには周辺の歩道整備などが必要と訴え、間接的に店の存続を求めた。

◆採算悪化

 大西氏は「小売業全体の売り上げは130兆円前後で推移しているのに、売り場面積はこの10年で2倍になった」と強調する。人口減少やネット通販の拡大が追い打ちをかけ、特に地方店や郊外店の採算悪化は深刻だ。

 すでに三越の千葉店(千葉市)と多摩センター店(東京)の3月閉鎖を決定。大西氏は松戸店とともに伊勢丹府中店(東京)、三越の広島店(広島市)と松山店(松山市)も縮小などの検討対象として名前を挙げたが、その後、東京都心の旗艦店を除く全店舗を「見直し対象にする」と軌道修正した。

◆高齢化

 地方にある店舗の多くは古い歴史を持つ。その一つ、松山店は終戦翌年の1946年開業。「街の顔」(愛媛県)と言われる存在だ。店の山下道孝総務部長は、主力の婦人服や、紳士服の売り上げが落ちている理由を「主な客層である年配の富裕層にモノを買いたいというニーズが減退していること」と分析する。

 変化に対応するため「旅行や学習などを売るような業態転換」を検討中だ。ひいきにしてくれる客の子や孫の世代に客層を広げようとしている。

 大型百貨店が集中する市中心部にある広島店も、顧客の高齢化が進む。東京商工リサーチ広島支社の吉田誠二情報部長は「百貨店がやっていけないというイメージが広がれば、進出を検討する企業はいい受け取り方をしないだろう」と指摘する。週2、3回は食料品を買いに来るという女性(75)は「私は三越のファン。このまま頑張ってほしい」と話した。