魚食堂

写真・題字:安原直樹


味が引き立つぬる燗 桜エビのだし巻き卵

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桜エビのだし巻き卵

 ♪お酒はぬるめの燗(かん)がいい♪。演歌歌手・八代亜紀さんの大ヒット曲『舟唄』である。

 ぬる燗の温度が気になり調べると、『ほろ酔い文学事典』に詳しく載っていた。平成になってから、40度近辺を表現するという。

 その上の上燗が45度近辺、熱燗が50度近辺と細かく仕切られ、この定めに従えば「熱燗は(お銚子が)持てないくらいの温度で、ひれ酒や卵酒など特殊な飲み方の場合」。一端の好酒家を気取るなら、居酒屋でやたらと「熱燗1本」と注文してはいけない。正しくは「上燗1本」となる。

 『舟唄』は、♪肴(さかな)はあぶったイカでいい♪と続くが、漫画家・新久千映さんはコミック『ワカコ酒』で、アテにだし巻き卵を勧める。酒飲みの舌を持って生まれた新久さんが、「だしの味がぬる燗で引き立つ」と悦に入る。

 桜エビを入れただし巻きに、菜の花の辛子和えなどを添え一献。なるほど、舌がだしの素材を的確に探り当てる。早春の菜の花の苦みが味に変化をつけて、一献のつもりが“春酌爛漫”となること間違いなし。

 【材料(2人分)】

 卵3個、乾燥桜エビ6グラム、だし汁大さじ3、酒小さじ1、薄口しょうゆ同1、塩少々、サラダ油適宜。

 【作り方】

 (1)だし汁に酒、薄口しょうゆ、塩を入れ、桜エビを浸し約5分置く。
 (2)ボウルに(1)と卵を割り入れ、白身を切るように溶きほぐす。
 (3)熱したフライパンにサラダ油を引き、(2)を1/4量流し入れ、向こう側から手前に巻く。巻き終わった卵は向こう側に寄せる。これを3回繰り返す。
 (4)粗熱が取れたら好みの厚さに切り分け、菜の花の辛子和え、大根おろしとともに皿に盛る。