魚食堂

写真・題字:安原直樹


本来の意味を誤解 ノドグロのみぞれ煮

  • 0
  • LINEで送る

ノドグロのみぞれ煮

 短長編、エッセー、翻訳と執筆範囲の広い作家、村上春樹さんが『若い読者のための短編小説案内』(文春文庫)にこう記す。

 「いろんなスタイルで文章を書き分けられるというのはとても楽しいことだし、精神バランスの見地から見ても、有益なこと」。

 毎年、ノーベル文学賞候補に名の挙がる一流作家と地方の三流記者を比べるのはおこがましいが、執筆ジャンルは社説、コラム、各種評論、釣り、そして本欄と多岐にわたる。社説が硬派の筆頭で、本欄が軟派のそれであり、精神バランスを保つ。思えば、酒もウイスキー、焼酎などの“均衡酌”と左党の言い訳。

 本欄は柔軟な発想で、楽しみながら書くことを心がけている。ノドグロカサゴは釣り面にたまに釣果を記す高級魚。鮮度がよければ刺し身とするが、いただき物なのでみぞれ煮とした。

 ぎょろ目のグロな顔貌に反して、身は透明感のある色白。甘辛のしょうゆ煮汁が、上品な魚の脂のうま味を引き立てる。

 文化庁の昨年度調査によると、「煮詰まる」の意味を4割の人が誤解していたそうだ。「議論を尽くして結論が出る状態になること」が本来の意味。「煮詰めて絶品の味」とでも覚えておこうか。

 【材料(2人分)】

 ノドグロ2匹、大根5センチ、だし汁300ミリリットル、酒、みりんしょうゆ各大さじ2。

 【作り方】

 (1)ノドグロはウロコとワタを取る。
 (2)大根はおろして。軽く絞っておく。
 (3)鍋にだし汁、酒、みりん、しょうゆを煮立たせ、(1)を入れて落しぶたをして中火で煮る。
 (4)(3)に火が通ったら、(2)を入れひと煮立ちさせる。
 (5)器に盛り、煮汁をたっぷりとかける。