私の小倉台日記

■プロフィール
勝山朗子(かつやま・あきこ)
  小説家、エッセイスト。房総文化懇話会会員。文学サークル『槙』同人。共著に『千葉児童文学選集』『槙・文学選集1・2・3』『何がそんなに…』など。千葉市在住。


遠隔操作

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 パソコンの具合が悪い。いや、私が今回の新しい機械に慣れていないのだ。

 「雨」という字が何度打っても出なかったり、もうひとつ何という字だったか出なかった。仕方がないので「雨期」と打って「期」を消していたら、いつの間にか「雨」が出るようになった。不思議でならない。

 同人誌『槇』37号を作成中である。会員は皆、力作を提出した。私も「はがきを読むネコ」という題で書き終わった。さて、その文書をCDに入れて印刷屋に渡すことになっていた。

 色々のたくさんの文書がCDに入っているので、「はがきを読むネコ」だけ別のCDに作りたいとおもった。画面のヘルプを頼りに、あちこちいじってみたが「はがきを読むネコ」が出てこない。

 仕方がないのでパソコンの「安心サポート」へ電話して、サポーターの言う通りに画面を操作した。何と、遠く離れたあちらのパソコンに私のパソコン画面がそっくり写っているらしく「その文書は入っていませんね」と、いとも冷静な声で答えるではないか。「え~っ、じゃあ、どうすればいいのですかぁ」「もう一度打って保存してください」「保存してありますよ、どうして出ないのですか」「ありませんから、もう一度その文書を作成して「保存」をクリックしてください」。こういうときは相手の声が冷酷に聞こえるものだ。黙って引き下がった。

 幸いパソコンと繋がっているプリンターで文書化してあったので、それを見ながら打ち直せた。打ち直してもう一度「安心サポート」を呼び出した。前日とは違う人が出て、別のCDに入れる方法を教えてもらった。

 それにしても個人情報保護とかいわれている現在、遠く離れた所に私のパソコンの全てをご存知の人がいるとは。例えば私が妹と人には言えない内容のメールを交わしたのも、見ようとすれば見られるのかしら。

 でもサポートセンターへ繋がったとき女性の声でアナウンスがあった。「お客様の個人情報は絶対に外へ漏らすことはありません」という意味のことを約束したっけ。

 二年前に殺人予告をした事件があったのも、他人のパソコンをつかっての遠隔操作だった。七年前にもぶっそうな事件があり、犯人宅から押収したパソコンには少女の写真が写っていた。そのパソコンから「消去」された写真を、警察の手によって復元することが出来、新たな犯罪も見つかったりする。

 そのくらいのことが出来る世の中だもの、私のパソコンの指導をしてくれるのはお安いご用なのかもしれない。私は、ただただ驚いていたのだけれども。