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主役級が集結、息のむ映像美 小湊鉄道、月崎駅でメーンロケ カメレオン俳優、中村に注目 星ガ丘ワンダーランド

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映画「星ガ丘ワンダーランド」より(左から)新井浩文と中村倫也 (C)2015「星ガ丘ワンダーランド」製作委員会
「森ラジオ ステーション」が「落とし物預かり所」として撮影された
月崎駅ホームで撮影されたワンシーン

 中村倫也、新井浩文、佐々木希、菅田将暉、杏、市原隼人、木村佳乃、松重豊と、日本映画界が誇る主役級がずらり並んだ豪華なミステリー。舞台となったのは、中村演じる主人公の駅員が働く「星ガ丘駅」を中心とした架空の田舎町「星ガ丘」で、小湊鉄道の月崎駅(市原市月崎)をメーンロケ地に撮影された。懐かしい田舎風景で織りなす豪華キャストの演技のアンサンブル。CM業界で知らない人はいない映像監督、柳沢翔の夢が実現した長編初監督作品は、全てのカットがCMになりそうなほど息をのむ美しさだ。

 星ガ丘駅の「落とし物預かり所」で働く駅員(中村)のもとに、20年前に姿を消した母(木村)が、思い出の遊園地「星ガ丘ワンダーランド」で死体となって発見されたと報せがはいる。この不可解な死は、疎遠になっていた兄(新井)、そして母が再婚していた新しい家族の子どもたち(佐々木、菅田)をも巻き込み、やがて20年前の真実が明らかとなっていく-。

 名だたる大手企業のCMを手掛けてきた監督には「いつかは自分発信の映画を撮ってみたい」という夢があった。しかし、初めて尽くしの挑戦に苦労は絶えず、クランクインの2カ月前になっても台本は未完成のまま。そんな中、監督は自らの経験を入れながら、脚本を絵コンテで“描いた”。8分間に1ページ10コマのペースで必死に絵コンテを描き続けたといい、その意図と情熱を受け止めた俳優陣もそれに応える演技を見せている。

 映画、ドラマ、舞台で活躍し、どんな色にも染まる“カメレオン俳優”と称される中村。となれば、気になるのは本人像。本作は限りなく本人に近い役というから注目だ。

 木造駅舎が美しい月崎駅以上に印象的なのが、本作の主人公が働く「落とし物預かり所」となっている小屋。それもそのはず、この小屋は、2014年の「中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス」で、作家の木村崇人さんが作った作品「森ラジオステーション」。同駅のかつての詰所小屋を森に見立て、さまざまな植物で覆われた外観。室内にはラジオがいくつも配置されている。ヘッドホンを耳に当てて周波数を合わせると、森にまつわる話などに耳を傾けられるという作品だ。

 ほかにも、主人公と兄が再開するシーンの撮影に市原市役所が使われている。

 秒単位のCMを手掛けてきた監督だけあり、構図へのこだわりは秀逸。ロケ地にこうしたアート作品を選ぶという点も、監督の映像美への徹底したこだわりだろう。(豊田敦志)

 【メモ】15年、日本。上映117分。3月5日よりT・ジョイ蘇我、イオンシネマ幕張新都心、イオンシネマユーカリが丘ほか全国ロードショー。ファントム・フィルム配給。オフィシャルHP(hoshigaoka-movie.com)。