ちばシネマ


千葉県出身 赤松えみなデビュー作 実力派広末、個性派滝藤と競演 はなちゃんのみそ汁

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千人を超えるオーディションではな役に選ばれた本県出身の赤松えみな
映画「はなちゃんのみそ汁」より赤松えみな(左)と広末涼子 (C)2015「はなちゃんのみそ汁」フィルムパートナーズ

 がんを患い33歳でこの世を去った母親が5歳の娘に伝えたのは、料理や家事の大切さだった-。どんな時でも前向きに生きた母親が立ち上げたブログを基にした実話エッセーを映画化。本県出身の赤松えみな(5)が千人を超えるオーディションを勝ち抜き、娘のはなちゃん役を射止めた。阿久根知昭監督・脚本。

 乳がんを宣告され出産をあきらめていた千恵(広末涼子)に妊娠が発覚した。自らの命が危険にさらされる中、千恵は夫(滝藤賢一)ら周囲の支えで命がけで産むことを決意。無事生まれた娘のはな(赤松)と家族3人の幸せな生活を再びの病魔が襲う。残り少ない命を覚悟した千恵は、自分がいなくなってもはなが暮らしていけるようにと、娘にみそ汁などの料理や家事の大切さを教え始める-。

 本作が映画デビューとなる赤松。最終審査で当時最年少だった4歳児のシンデレラは、ほかのどの子どもよりもセリフを覚え、しかも芝居にセリフが乗っていた。現場ではスタッフやキャストたちの動きを見て、ほぼそこで何が起こっているかを理解していたという。

 「何が撮れるか想像がつかないから冒険する面白さはある」と監督。劇中では子役っぽさはなく子どもそのものでまさに「芝居か本気か分からない」(監督)。かわいらしくも堂々とした演技で国内トップクラスの実力派、広末と個性派、滝藤との見事な演技のアンサンブルを響かせた。

 完成記念イベントで撮影を振り返った赤松は「緊張したけど、頑張ったです!」とかわいくあいさつ。広末にとっても、大変な撮影現場で赤松の存在が力になったという。「今も毎日じゃないけど、おみそ汁作ってるよ。また千恵ママ(広末)と一緒にかつお節削ったりおみそ汁作ったりしたいな」と赤松。本作を通じて食べることの大切さをしっかりと学んだ。

 原作となったブログは、2008年7月に亡くなった安武千恵さんの「早寝早起き玄米生活」。これを基に発売された、家族との日々をつづったエッセー「はなちゃんのみそ汁」は大きな話題を呼び、関連書籍、テレビドラマ化、さらにはなさんの作文「ママとの約束」が15年度の小学2年生向け道徳教材にも採用された。本来は悲しい物語だった原作を、ここまで心温まる作品に昇華させた監督の手腕は見事。

 最後にもう一つの主役、はなさん監修のかつお節を削るところから作る「みそ汁」。昆布とかつお節でだしをとり、豆腐とワカメでみそを溶く。味見をしたら飾りに三つ葉をのせてできあがり。このシンプル極まりないみそ汁は、濃い薄いといった“家族の味付け”ではなく、家族で囲む食卓にしかない“家族の味”なのだろう。

 (文化部・豊田敦志)

 【メモ】15年、日本。上映118分。来年1月9日より全国拡大ロードショー。東京テアトル配給。