ちばシネマ


パリが愛した画家フジタの半生描く 「FOUJITA」 香取市などでロケ

  • 0
  • LINEで送る

映画「FOUJITA」よりフジタ役のオダギリジョー(c)2015「FOUJITA」製作委員会/ユーロワイド
香取市佐原で撮影されたフジタが妻と能面を見るシーン

 日本生まれのエコール・ド・パリを代表する画家、藤田嗣治(レオナール・フジタ、1886-1968)の戦争を挟んだ激動の半生を、戦後70年の今年に映画化。映画の後半は本県の香取市などで撮影された。小栗康平監督。

 1920年代、フランス・パリ。「乳白色の肌」で裸婦を描き、エコール・ド・パリの寵児となったフジタ(オダギリジョー)は、毎夜のようにカフェ・ロトンドへと繰り出してはモデルのキキ(アンジェル・ユモー)やドンゲン、キスリング、スーチン、ザッキンら画家仲間と華やかな日々を送っていた。

 40年代、日本。第2次世界大戦を機に帰国したフジタは多くの戦争協力画を描く。「アッツ島玉砕」は「国民総力決戦美術展」に特別展示され、多くの来場者の心を動かした。東京空襲が激しくなり、5番目の妻(中谷美紀)と疎開先の村で敗戦を迎える-。

 本作では、華やかなパリと戦時下の日本という二つの時代がきっちり並置して描かれる。「ジュイ布のある裸婦」をはじめとする乳白色の肌で若くして成功を収めたフジタの作風も、後半の「アッツ島玉砕」ではベラスケス作品を想起させるような筆致へと変わっていく。そんなフジタの持つ感情世界を、フェルメールやカラヴァッジョ作品の光の技法を思わせる巧みな撮影技術・照明技術で美しく表現している。

 この二つの時代は、若さと活力にあふれる「動」、妻とつつましく暮らす「静」と対極。フランス語を猛勉強してこの難役に挑んだオダギリが、本作で役者の幅を大きく広げた。

 また、フジタらが倉庫街で戦況の話をするシーン、女性たちが千人針をお願いするシーン、さらに作中では鎌倉という設定だが、フジタが妻と能面を見るシーンなどは香取市佐原で撮影された。監督は前作の「埋もれ木」(2005年)の撮影でも佐原の街並みを活用したという。

 ゴッホやピカソ、モネなど初期の作品から代表作に至るまでに作風に変化が見られた画家は多く、こうした作品の鑑賞は、その画家がその作品を描いた当時の時代背景を知るほどに面白い。戦争協力画に抵抗を感じる人もいるかも知れないが、宮廷や教会というパトロンを得て発展した西洋絵画と同様、国家の支援を受け絵画芸術が一つの開花を見た時代とも言える。フジタの作品は、東京国立近代美術館など国内にも数多く収蔵されている。ぜひ出掛けてみては?

 (文化部・豊田敦志)

 【メモ】15年、日本・フランス。上映126分。11月14日より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国ロードショー。KADOKAWA配給。PG12。「FOUJITA」はフランス語表記。藤田嗣治は1955年、日本国籍抹消。