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地元のつながり大切に 「ボクは坊さん。」 伊藤淳史さんインタビュー

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「地元のつながりを大切に」と話す伊藤淳史さん(撮影・豊田敦志)
映画「ボクは坊さん。」より主演の伊藤淳史(C)2015映画「ボクは坊さん。」製作委員会

 祖父の死をきっかけに24歳で突然、お寺の住職となった駆け出しのお坊さんの奮闘を描く映画「ボクは坊さん。」が24日から、全国公開される。主演する伊藤淳史さん(31)=船橋市出身=に、本作の魅力や千葉県への思いなどを聞いた。(聞き手=文化部・豊田敦志)

    ◇      ◇

 −「ボクは坊さん。」では、駆け出しのお坊さん役に挑戦されましたが、演じてみての印象は?

 伊藤 お坊さんという職業は、僕の中で特別な存在というイメージがありましたが、今回の作品では特別なお坊さんというよりは、シンプルに一人の青年のお話として描いています。なので、あまり難しくとらえず、一人の青年の人生、生き方をお芝居で表現できたら良いなと思いました。もちろん、お坊さんとしての所作など難しい所はいっぱいありましたけど。

 −白方進(光円)という一人の青年の成長を演じてみて、何か感じたことはありましたか?

 伊藤 置かれている状況も含めて、彼の人生も特別なものではないなと感じました。住職が亡くなってしまって、「じゃあ、自分がやるしかない」と、周りのことに反応して生きていくことが成長につながっています。光円は自分一人で成長していくのではなく、家族や友人といった周りの身近な存在に支えられながら成長していく。そんな毎日の中で、これからも生きていくんだなと感じました。

 −船橋市のご出身とのことですが、現在の千葉県との関わりは?

 伊藤 千葉は大好きです。船橋市で生まれ育ったので、今でも時間がある時は実家に帰ってのんびりしたいと思っています。好きなゴルフはほとんど千葉です。車も千葉に向かって運転する方が楽しいですね。京葉道で江戸川を渡る時の感じも好きです。高校が市川市内だったので、親友がいる本八幡の居酒屋にふらっと行ったりします。やっぱり落ち着きますね。

 初詣で手を合わせに行くのは成田山。車の運転が好きなので、自動車のおはらいには必ず行っています。その時だけはちょっとぜいたくして、参道でうなぎを食べるんですよ。

 −最後に、千葉県民の皆さまへのメッセージをお願いします。

 伊藤 映画「ボクは坊さん。」は、当たり前の日常の中に人と人とのつながりの大切さがある。生きるヒントとなることがたくさんある魅力的な作品です。今回のお寺と檀家さんとの関係のような、地元の横のつながりというのはすごく大切です。近所づきあいといった横のつながりを大切にして、千葉を愛してくれたらなと思います。

 −ありがとうございました。

◆青年住職の苦悩と奮闘

 現役住職、白川密成の人気エッセーを映画化。駆け出しの坊さんとなった青年が人として成長していく姿を描いた心温まる作品。真壁幸紀監督。

 突然の祖父の死をきっかけに書店員の仕事を辞め、四国八十八ケ所霊場第57番札所・栄福寺の住職になった24歳の青年(伊藤淳史)。この寺で生まれ育ったけれど、住職として足を踏み入れた“坊さんワールド”は想像以上に奥深いものだった。初めて見る坊さん専用グッズや、個性豊かな僧侶との出会いにワクワクしたり、檀家の人たちとの関係に悩んだり。お葬式や結婚式で人々の人生の節目を見守るのはもちろん、地域の“顔”としての役割もお坊さんには必要。職業柄、人の生死に立ち合うことで「生きるとは何か? 死ぬとは何か?」と考えたりもする。駆け出しの坊さんとなった青年は、試行錯誤を繰り返しながら、人としても成長していく−。

 日本全国には神道系、仏教系、キリスト教系など18万1961の宗教法人がある(文科省調べ、2013年12月31日現在)。先人たちが築き上げてきたその歴史を次代に引き継ぐためには、それぞれに多大な努力がある。宗教家である前に一人の人間であり、日々の生活に悩み、奮闘していく。本作のような人間味あふれる坊さんも数多くいるだろう。

 一生懸命さ、誠実さが伝わる演技に定評のある伊藤は、まさにハマり役。原作にはいなかった幼なじみ役に山本美月、溝端淳平を配し、より魅力的な物語に仕上げている。

 31歳と若い監督の長編デビュー作とあり、本作のストーリーとも相まって清涼感が漂う。撮影は、原作者が実際に住職を務める栄福寺で行われた。高野山のシーンでは奥の院で史上初の撮影許可を得ている。高野山開創1200年の節目となる今年。まるで栄福寺に行ったかのようにホッとできる作品だ。(豊)

 【メモ】15年、日本。上映99分。10月24日より京成ローザ(10)ほか全国ロードショー。ファントム・フィルム配給。