ちばシネマ


「罪の余白」 鴨川舞台の心理サスペンス 内野が女子高生と対決 【ちばシネマ】

  • 0
  • LINEで送る

映画「罪の余白」より内野聖陽と吉本実憂(C)2015「罪の余白」フィルムパートナーズ
(左から)文理開成高校図書室にて内野聖陽と大塚祐吉監督
千葉東霊園にて撮影されたワンシーン

 鴨川市内を中心に撮影された心理サスペンス。芦沢央(千葉大卒)のデビュー小説を、東葛映画祭に「妹-SISTER-」(2005年)を出品し喝采を浴びた大塚祐吉監督が映画化した。命をもてあそぶ女子高生に、娘を亡くした行動心理学者の父が挑む。

 名門女子校で少女(吉田美佳子)がベランダから転落して死亡した。なぜ娘は死んだのか。自殺か事故か。行動心理学者の父(内野聖陽)は、娘の異変に気づけなかった自分を責める。そんな時、娘の死に涙する美しいクラスメート(吉本実憂)が現れ、娘が日記をつけていたことを知る。日記から真相を知り復讐(ふくしゅう)を誓う父と、自らの罪を隠蔽(いんぺい)しようとする美しき女子高生との心理戦の行方は-。

 頭脳明晰(めいせき)、容姿端麗。牝鶏之晨(ひんけいのしん)のごとくスクール・カーストの頂点に君臨する“女王”。同級生などお手の物。心理を研究する行動心理学者をも手玉に取り、罠(わな)へと追い詰めていく。

 女子校におけるヒエラルキーについては、男性記者には大奥のごとく想像すらつかないが、本作では普通の学校生活としか見えない中で、女王の一挙一動を重圧として描く。この女王は悪魔の顔だけではなく、天使の顔も使い分ける。吉本の演技力は、作品を重ねるごとに増している。

 対する内野も好演でクールで熱い役柄にはどっしりとした安定感がある。そしてウイスキーが良く似合う。

 さて、本作は鴨川市内を中心に県内各地で撮影が行われた。舞台となった名門女子校には、文理開成高校(鴨川市)の美しい校舎を活用した。少女が4階のベランダから落ちる印象的なシーンでは、吉田はクレーンで上げたバケットの上に落ちる撮影を約30回にわたり敢行。バケットと校舎の隙間はおよそ50センチ。「もう慣れました」というからあっぱれ。

 このほか、劇中には鴨川グランドタワー(同市)、清和大学(木更津市)、千葉都市モノレール(千葉市中央区)、千葉東霊園(同市若葉区)、君津市内のコンビニなどが登場する。ぜひ注目しながら観てほしい。

 女子校を舞台とした本作だが、雄同士を一緒にすると闘う習性がある闘魚を象徴的に扱っている。この同性間のマウンティングは、人間がやれば醜いもの。やられた側にも苦痛でしかない。一方で、古くから牝鶏は混乱を招くと言われる。ベランダからの転落死がそれだ。そこに現れた立派な雄鶏。さて、その結末は-。

    ◇     ◇

 千葉県で撮影された作品や本県出身俳優の出演作など、本県ゆかりの映画をピックアップする。

 (文化部・豊田敦志)

 【メモ】15年、日本。上映120分。3日、TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー。ファントム・フィルム配給。