夷隅川の慕情、陰影深く 片岡伸詩集「29の欠片」

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 片岡伸さんの4冊目の詩集「29の欠片」(砂子屋書房)が上梓された。彼は夷隅川のほとりの村落に生まれ、現在もそこに住み続けている。彼は写真家としての顔も持ち、その詩風はすべて経験したこと〔事実〕を書くのだと言う。あるがままに愚直に対象の本質に触れようと願うのである。

 夷隅川を原風景に地に根ざした写真家としての眼。彼の詩は誰もが何処かに抱えている故郷への郷愁を誘ってくれたものだ。父祖の生きた地を大切に育んできた作者だが、愛娘が癌を患い急逝してしまう。淋しさと慕情が詩集の陰影を深いものとしている。

 片岡さんは日本現代詩人会会員、文芸誌「覇気」同人。いすみ市岬町在住。

 価格は2700円。

 (日本現代詩人会理事、千葉県詩人クラブ元会長・斎藤正敏)