読者文芸(2017年1月22日)

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日報俳壇 水見壽男選

木更津市 柏崎清一郎
妻に似しおかめを選ぶ酉の市
 【評】思わず微苦笑。佳い絵柄で少しく句作りに、視点を引いているのが技。酉の市にあっては何と言ってもおかめは主役。親しめる面立ちである。愛嬌(あいきょう)の低い鼻、豊かな頬など里神楽でも座の引き立て役を演ずる。導入部が大胆な諷詠で親しめる。

富津市 三辻あゆみ
七色に見ゆるときあり榾火燃ゆ
 【評】囲炉裏(いろり)やかまどなどに用いたたきぎだが、今はそのかまどを見る機会が少なくなった。薪木の種類によって火色も多く、その燃ゆる木の香りが、色とともになんとも言えぬ雰囲気をもたらす。暖に親しみさらに七色の火色に親しむ炉端も、今は昔の思い出。木の香りが懐かしい。

日報柳壇 永藤我柳選

茂原市 大久保稔
TPPハシゴ外され宙に浮き
 【評】アメリカが「環太平洋経済貿易連携」いわゆるTPPから脱退する。と新大統領が言い出したため日本がどんなに力んでみても肝心のアメリカ抜きではまとまらない。原句もそんなところをウガってみたかったのかも。ウイットの利いたマトメが上手い。

木更津市 西村ベティー
二十日正月女子会たちの大ジョッキ
 【評】正月二十日は骨正月とも言い、正月の祝い納めで仕事を休む。所によっては「女の正月」とも言われ、台所で忙しい主婦達も寄り合ってユックリとお茶飲みをしたりする。現代版なら居酒屋辺りでの女子会というところかもしれない。年頭からの楽しそうな雰囲気が描かれている。

日報歌壇 大島史洋選

茂原市 牧野昭
子らが皆おにぎりにして持ち帰る妻が誕生日に炊きし赤飯
 【評】母の誕生日を祝って子供たちが集まったのでしょう。帰りには、お土産に赤飯をお握りにして持ち帰るというのです。心あたたまる光景。

千葉市 佐藤展子
耳かき棒二十七年愛用す感触良きかな飴色に変はり
 【評】良い耳かき棒で耳をかくと、本当に気持ちがいいですね。飴色が目に浮かびます。

日報学生歌壇 下平武治選

流山市 藤井隆成
選択の中国語を趣味で取り半年立っても身につくものは無く
 【評】選択科目の中国語を趣味で履修したが、半年たっても何も身についていないと。しっかり考えずにただ趣味だからということで履修した中国語に後悔している作者の気持ちが伝わってきます。

我孫子市 山口真奈
冷え込んだ朝に厚着で出かけたら気温が上がり汗がダラダラ
 【評】冷え込みの厳しい朝に、用心して厚着で出かけたところ気温が上がり、汗がだらだら出たと。後悔している作者の気持ちが伝わってきます。

日報詩壇 中谷順子選

きいろい蝶
 船橋市 青柳泉
二週間ほど前から
庭に舞っている蝶
きいろい蝶
おまえはここで生まれたの
ピラカンサスの垣と椿と
藤とすこしばかりの花が
あるばかりの狭庭で

私が庭に立つと
私のまわりをひらひら飛ぶ
二つ折り手紙をもっている
その手紙には
何が書いてあるの
きっと幸せな言葉ぎゅっと
つまっているのに違いない

永遠に開けられない
ふしぎな手紙

蝶は今日
赤いコスモスを回って
どこかへ消えてしまった
ねぇなぜその手紙を
私に渡してくれなかったの
 【評】羽を休める蝶から手紙を想像し、ひらひら飛ぶ姿から「開かれない手紙」を連想した豊かな感性。終行も見事に決まりました。

■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。メールでの投稿は受け付けておりません。