読者文芸(2016年10月9日)

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日報俳壇 山中葛子選

八街市  緑川安英
カナダよりメール着信今朝の秋
 【評】留学中のお孫さんからのメールであろうか。<白い雲空まっ青や留学す>の六月掲載句がよみがえってくる。外国生活への安否が一気に吹き飛んでいる立秋の日の朝なのだ。心ゆたかな言葉が一瞬のうちに届く、宇宙科学の時代ならではの爽やかさ。

銚子市 田原秀水
月草の花をひそかに見てゐたり
 【評】道辺や小川のふちなどに繁茂するツユクサの古名である「月草」は、アオバナ、ホタルグサとも呼ばれる。古くからの露草色・縹(はなだ)色は、この青花で染めあげられた色である。半日で萎れる花の儚さが、文化にたどりつく古名の懐かしさ。

日報柳壇 永藤我柳選

千葉市 鹿野照代
来世も小指絡めて貴方の子
 【評】この作者のお母様が、もうすぐ百歳を迎えられようとした矢先、転んだ事が切っ掛けで入院されたままご他界されたそうです。誠にお気の毒で残念で御座います。そういう悲しみの中にも母への思慕でしょうか「来世も、お母さんの子で生まれたい」という句を詠まれたもの。これを投句する事で胸の内を誰かに訴えたいと思われたのかもしれません。共感される方も多いと思いますが、どうぞ今後も頑張ってください。

柏市 柳哲
デイケア車見送る妻のランチ会
 【評】デイサービスに送り出した後の妻が、友達同士の集まりでもあるのか、ランチ会に出掛けた。と言うところでしょう。今時の主婦らしく、カラッとした憎めない面白みが楽しませてくれる逸句だ。

日報歌壇 大島史洋選

香取市 根本静子
彼の頃の通学道路なけれども稲田の中の実家へ帰る
 【評】故郷もさまざまに変わってしまったけれど、稲田の中の実家だけは昔のままだという感慨でしょうか。そう鑑賞しました。

流山市 角田勇
カンナ咲く段々畑のその上に入道雲が大きく湧きぬ
 【評】カンナの赤と入道雲の白と、雄大な絵を見ているような光景です。

日報学生歌壇 下平武治選

流山市 櫻井晴菜
真っ白で溶けてしまうほど甘い恋今の私はわたあめみたい
 【評】甘い甘い真っ白な綿あめのようで、今にも溶けてしまいそうな恋をしているという作者。純粋無垢な恋の真っ只中の作者の喜びを感じる歌です。この恋、大事にしてください。

松戸市 池澤悠太
千葉県内ドライブで巡るぶらり旅バイトが休みの気楽な土曜
 【評】バイトが休みで気楽な土曜だから千葉県内をぶらりと旅しているという。県内のどこを巡っているのか気にかかりますが、その一方でうらやましくもあります。良い旅をしてください。

日報詩壇 中谷順子選

イメージ夏
 八千代市 星清彦
青い瞳
青い宝石
青いワンピース
青い果実酒
青い古めいた瓶
青い磨り硝子の窓
青い陽に焼けたカーテン
青いサングラス
青い屋根
青い樹の実
青い小鳥
青いタイルの路
青い風の描く絵
青い波
青い海
青い空
青い星
紅い貨物船
 【評】夏から沸き起こる「青」のイメージを、キャンバスに叩きつけるように描いたモダニズムの詩。このエネルギーこそが夏。陽光を青ととらえ、補色の紅色を入れ見事に決めています。

■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。メールでの投稿は受け付けておりません。