忙人寸語

忙人寸語(2017年3月20日)

  • 0
  • LINEで送る

 最近のアニメを侮るなかれ-。昨年は大ヒットした『君の名は。』が、製作・配給の東宝の業績を拡大、邦・洋画合算の興収も過去最高に押し上げた。まさしくアニメは興行の宝石なのである

▼といっても、オジサン連は懐疑的。しかし、劇場観賞すれば、疑心暗鬼から解放される。奥深い物語、精密なコマ割り、人間臭いキャラなどで、まんまとアニメ作家の術中にはまる

▼記者もその一人。ピクサー作の3Dアニメ『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009年)で、既成概念を打ち砕かれた。愛妻を亡くした頑固じいさんの名優級の哀愁が、心の深部まで染み入った

▼さて、ユニバーサル・スタジオの新作『SING/シング』(公開中)はどうか。映画は動物のみが暮らす世界。経営危機に瀕(ひん)した音楽劇場のコアラ支配人が、再建のため新人歌手のコンテストを開き、最終候補に6人が残る

▼支配人が伝説の映画人ロジャー・コーマンのごとき山師で、劇場の舞台はアメリカン・ドリームをかなえる場。候補歌手は借金、貧困など米格差社会の諸問題に苦しんでいるが、歌唱の才で人生を変える。オバマ前大統領の「Yes we can」の実践だ

▼ラストシーンはアニメの域を超え、一等星の音楽ショーのプログラムである。笑いと涙と感動の調和。これはトランプ大統領の「米国第一」の利己的な態度では成立しない。