忙人寸語

忙人寸語(2017年3月18日)

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 懐かしいポスターを見る機会があった。1970~80年代、乗車マナーを訴えて都内の地下鉄に登場したものだ

▼チャプリンの映画「独裁者」のパロディーは、軍服姿のヒトラーが大股開きで座る『独占者』。ロダンの彫刻「考える人」がモデルと一目で分かるのは、隣を気にせずに足を組む『考えない人』。新聞を大きく広げて読んでいる『スペースインベーダー』も

▼ユーモアとウイット、駄じゃれも巧みに世相を表す。そんなインパクトのある風刺を見ることは少なくなったが、マナーの悪さなど他者を気にしない風潮は今も変わらない。もしかしたら、より無神経になっているのかもしれない

▼深刻なのは、救急車の使い方まで鈍感になってきていることだ。消防庁をはじめ、各自治体の消防が適正利用を呼び掛けている。搬送者の約半数が入院を必要としない軽症だったり、タクシー代わりに使うケースまであるという

▼消防庁が、けがや病気の症状で緊急度を判定するサイトを開発し、今月末に運用を始める。病状、痛みの部位や強さなどを選ぶと救急車を呼ぶ必要があるかどうかの目安を教えてくれる仕組みになっている

▼安易な119番で一刻を争う患者の搬送が遅れてはならない。今すぐ救急車を呼ぶべきか、緊急ではなく他の交通手段で十分か、様子を見るか。『考えない人』では、困りものだ。