忙人寸語

忙人寸語(2017年3月14日)

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 自転車に乗った人々が幹線道路の主役だった。1990年代初頭の中国・上海。まだ少なかった乗用車は、独フォルクスワーゲン(VW)が存在感を示していた。日本車を見かけず、異国を強く意識した

▼トヨタ自動車が2016年のグループ世界販売台数で5年ぶりに世界首位から陥落した。取って代わったのはVW。15年9月に発覚した排ガス不正問題でブランドイメージが傷ついたのは記憶に新しい。翌年の大躍進に底知れぬ販売力を感じた

▼共に1千万台超えの頂上決戦。デッドヒートの行方の鍵は、今や世界最大市場となった中国が握った。トヨタは前年比8・2%増の約120万台と健闘したが、VWは12・2%増の約400万台と引き離した

▼VWは他社に先駆け1985年、上海に中国企業と合弁で工場を設け現地生産に乗り出した。「いち早く進出したのはアドバンテージになっている」と同社日本法人。“国産車”のように中国の人々からは親近感を持たれているという

▼海外で日本車を目にすると、業界関係者でもないのにうれしくなる。自国を離れた心細さの中、“なじみ”との遭遇はホームにいるような安心感をもたらすからだろう

▼今年の販売レースを制するのはどこか。「挑戦してみろ」。そんなげきを飛ばしているように聞こえる業界大手のCM風にエールを送れば「やっちゃえ日本勢」。