忙人寸語

忙人寸語(2017年3月3日)

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 見目麗しく、古式ゆかしい衣装をまとい、凜(りん)としたたたずまい。ひな人形を前に笑顔が広がる家庭も多いことだろう。きょう3日は桃の節句

▼ただ、この暮らしを彩る行事の意味を次代にしっかりと受け継げるのか、不安になる調査結果が出た。節句人形の製造販売業者で組織する日本人形協会(367社)が「ひな祭りの伝統を重んじるか」と20~30代の母親500人に尋ねたところ、「大切にしたい」の回答は4人に1人にとどまった。協会は「日本の伝統が忘れられていく」と危機感を募らせる

▼「黙っていても売れた。ひな人形をなぜ飾るのか意義を説明しなかったつけが回ってきた」。手狭な住宅や経済的事情に加え、第2次ベビーブーム時代の商売の仕方に遠因があったと分析する

▼「予祝(よしゅく)」の意味がひな祭りにはあるそうだ。仲むつまじく男女一対の人形が座る姿は、愛娘(まなむすめ)の将来の幸せの形である結婚を表す。幸せを願い毎年、家庭では前祝いを行う

▼協会は「日本人の心」を伝えるため、節句行事の啓発を強める方針。「東京五輪に向け、日本の伝統文化を発信していく。意味が分かれば興味を持ってもらえる自信はある」

▼勝浦市の「ビッグひな祭り」は、全国各地から寄贈された人形3万体が並ぶ。娘の厄を肩代わりしてきた“守り神”には厳かな雰囲気も漂う。伝統行事への理解が深まれば興趣も増す。