忙人寸語

忙人寸語(2017年3月2日)

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 これにて一件落着-とは、故松方弘樹さんが演じた「遠山の金さん」の決め台詞(ぜりふ)である。遠山左衛門尉(さえもんのじょう)が北町奉行に任命されたのは天保11(1840)年3月2日。きょうは『金さんの日』だそうだ

▼名奉行といえば大岡忠相も。子どもの母親を名乗り譲らない女性2人に対し、忠相はその子の両腕をそれぞれ引っ張って争わせる。痛がる子どもの姿に思わず手を離した方が真の肉親と見切った。“大岡名裁き”のエピソードだ

▼毒物は化学兵器のVXガス、実行犯の女2人が起訴された。次々と新事実が明らかになる金正男氏殺害事件。マレーシア当局の毅然(きぜん)とした捜査は北朝鮮の国家ぐるみの組織的犯行を浮かび上がらせる

▼正男氏は2001年、偽造旅券で入国を図り成田空港で身柄を拘束された。拉致問題が一向に進展しない中、「正男氏とは確認できなかった」と国外追放で幕を引いた時の政府。その裁きに批判も集まった

▼この期に及んでも「被害者は正男氏ではない」と強弁する北。それどころか「捜査はでっち上げ」と憤慨する始末。数少ない友好国との対立を深めてもなお、孤立への道をまた一歩進むようだ

▼体制にとって邪魔な存在となれば、血を分けた肉親といえども他国の主権を侵してでも葬り去る。残忍な暗殺劇はどんな落着をみせるか。かの国の流儀に下る裁きを国際社会は刮目(かつもく)している。